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棟梁が「今、この状態をよく心に焼き付けておいて欲しい」とおっしゃった屋根裏の様子。
天井板が入ると次回の解体修理まで見えなくなるのです。 それはおよそ300年後の話。絶妙な力関係で支え合い、見事な屋根の曲線を醸し出しています。 この大きな材木を収めるのに一番長く時間を要しました。 |
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屋根が覆われると天井裏の細工に入ります。
脚立を使い、2人1組で行われます。手の汗や垢が付かぬよう細心の注意をはらいます。 |
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養生は完璧に施され、宝石を扱うように材料を扱います。
ここでも決して言葉は発しません。なぜなら、神仏の住す空間、無垢な木々には読経や清き祈りを染み込ませることが本義であるから、職人の雑言は穢れとなるのだそうです。 |
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前日まで雨が嘘のように晴れ渡り、キンと冷えた空気の中、厳かに上棟式が厳修されました。
本堂にて護摩を修し、境内行道の後、まずは客殿内に設けられた祭壇にてお勤め、そしてここからは職人のみで足場に登り、それぞれの位置で伝統的な祭事が執り行われました。 その凛々しき姿は圧巻で誰もが憧れる場面でした。 |
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棟札を本堂にて開眼し、棟梁の手によって棟へ上げられます。
古代はみんなで力を合わせて棟木を綱で引いて上げたといいます。古式に則り、棟梁は黒烏帽子、赤衣姿。工衆は白衣で威儀を正します。ひもろぎが立てられ、魔除けの上棟幣、弓矢と扇(天晴)が飾られます。その光景は正に天晴れ、上棟式を「大工晴れ」と表現する由縁です。 |
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大地の神が最高の棟に上がり、その徳がこぼれ落ちる。
「餅投げ」の餅はその徳を表し、それを拾うことで幸せを授かります。 餅は各方面からの手作り、「子供も来るのだから」と棟梁の配慮でお菓子も投げられました。 |
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正面の大瓦の造形は波形です。これも波の勢いを徳と示し、屋根からも功徳がこぼれ落ちるという表現から成り立っています。
鬼瓦は魔を祓うと言われますが、密教の場合、無量の功徳を常に遍満させることによって不浄をも、吉祥に変えるという観念があります。 |