2018/02/19『漢字は感字』

Byyomairi

2018/02/19『漢字は感字』

今朝の日記は「法話」という話芸の探求についてです。すこし法話とはかけ離れてしまいますが、日常もっとも手軽に発している「言葉・文章」の意識をかえて「相手に伝えること」を磨いてみましょう。
 
私は若い僧侶に法話を教えるとき、頭の中で想い描いた映像を口というプロジェクターで、相手の心に投写するように説きます。自分が描けていないものを相手に伝えることは不可能です。ピンぼけでも、低画質でも伝わりません。また逆に情報過多で混乱させてしまうこともしばしばです。
 
昨夜、劇団四季の成功を紹介する番組がありました。そのシステムはただただ驚きの一語でしたが、中でも布教師として参考になったのが「折れ」という台詞の注釈でした。台本に書かれた台詞を役者さんたちがそれぞれ工夫して「言葉に生命を吹き込む」作業です。台詞の区切りに【感情】を記入していき、その感情によって台詞に表情をつけていくのです。中には、その記入が台詞と同量になる場合もあって、倍の量を覚えなくてはならないという状況になるそうですが、そのぶん心象を映像として覚えていくのでスッと入りやすくなるのだそうです。
 
話は変わりますが、さいきん読んだ本で面白かったのは「漫画原作の書き方」を説いた一冊でした。漫画家ではなく、漫画の原作者が如何に文章で漫画家や編集者にストーリーを面白く伝えるのか。キャラクタの個性を表現するのか。そのことに特化したハウツー本です。法話には、なかなかベストなテキストがありません。よく落語家やアナウンサーが出した書籍を勧められますが、技術論はしっかりしていても感情を伝えるところまでを解説しているものは皆無です。
 
この本の中に登場する「漢字は感字」という言葉が印象的でした。漢字の読みを響きとして捉えて、どの文字がその状況にベストマッチしているかを考える。例えば「はしる」という台詞にどれだけのスピード化や危機感を伝えたいのか。それは「走る」より「疾る」であるとか。漫画ならではの文字を絵として表現に触れています。
 
漫画はもともと「絵に台詞を入れたもの」です。ということは、絵で文章以上をすでに語っているわけで、それをより深く表現する台詞で完結するのです。法話も頭に描く漫画です。そのあたりを理解して語りの中に取り入れることが出来れば、シンプルに相手の脳裏に投影できる『語り』として完成していくことでしょう。
 
宣伝ではありませんが、この本は漫画に関わる人に限らず、何かを描く人、人前でお話をする人、感情を伝えるのがヘタクソな人にはオススメの一冊です。