2018/02/02『お手軽な入我我入(にゅうががにゅう)』

Bykozoji

2018/02/02『お手軽な入我我入(にゅうががにゅう)』

最近では瞑想やヨガ、座禅があちらこちらで学べるようになりました。高野山でも「観法(密教的メディテーション)を身近に」と一般の方でも「阿字観」などを教わることが出来ます。このようなことにチャレンジする人は普通とは違う境地を求めがちですから、感想をうかがうと「よくわからんかった」という答えはほとんどなく、それらしい感動を熱く語ってくださいます。でも私のような行者でさえ、いまだにピンとこないことがしばしばですから一朝一夕に極めることは難しいと思います。

「入我我入(にゅうががにゅう)」とは自身の中に御仏を取り入れ、御仏の中に自身が入ることをいいます。呼吸を整えて、教則にしたがって時間をかけて段階にそって集中を高めます。これも一口に「出来た!」というものではなく、人にああだこうだと聞いて同調することでもありません。でもやってみたい……でもできない。このジレンマの中に溺れてしまう人も少なくありません。

日本には季節があります。勝手なもので夏には涼しく、冬には暖かく過ごしたいとぼやきます。でもこの季節の体感を素直に受け入れて観ずれば良いのです。御仏とは何か……それは「宇宙の摂理」です。宇宙といってしまうとスケールが大きすぎてトンチンカンになるので、ここでは「自然」に置き換えてみましょう。自然に自己を投じてみる。これが「入」ということです。常日頃、人としてワガママに生きている。大袈裟にいえば自然に刃向かって生きている。それだから心身のバランスを壊してストレスなどという亡霊に悩まされている。こう解釈するならば、それらをリセットするために上記の作業が必要だと理解出来ると思います。

この時期は簡単です。朝起きたら顔を洗ってしっかり口をゆすぎます。服装を暖かくして、とびっきり寒い部屋か窓を開けて外気と同じ温度の部屋に座ります。可能なら仏壇や祭壇があればベストですが、なければ灯明(キャンドルでも可)を点して、正座をして静かに見つめます。そこで大きく息を吸い、ハーッと静かに息を吐き出します。この時、なるべくゆっくり長く吐く意識をします。そしてまた大きく息を吸います。ここで普通のメディテーションなら「吐く息を意識する」と説きますが、まずは「吸う息」を感じます。観じるではなく感じるのです。体温で温まっている息が外に出て、冷えた自然の空気が体内を巡ります。これを繰り返していると徐々に外気と体内が同調してきます。そこから今度は吐く息を意識します。真冬ですから、当然のように白い吐息が出ます。その息を長く遠くへ低く小さな「アーーーー」という声(響き)に乗せて吐いていきます。慣れてきたら、白い息の粒子一粒一粒をしっかり見つめる意識を持ちます。文章だと長く思えますが、数分これを朝と夜、毎日続けてみる。このあとにキチンと勤行すればなおさらイキイキしてきます。

難しいことは考えず、身近にあるものを使ってしっかりと三密(行い、言葉、心持ち)を整える。山寺にこもったり、パワースポットに行かなくても、季節という最高の演出が御仏へと誘ってくれますよ。