Monthly Archives:5月 2018

Bykozoji

2018/05/14『クッキーのサイクル』

もうずいぶん前の話になりますが、8才くらいの女の子に「死んだらどうなるの?」と訊かれたことがあります。とっさのことでずいぶん慌てた記憶がありますが、そのとき「死んだ先のことはわからないけど、死んだ人を君がどう考えたら良いのか、その方法はわかるよ。」と答えました。
 
まず「大好きな食べ物は?」と訊いてみました。すると彼女は「〇〇クッキー!」と答えてくれました。次に「そのクッキーのこと考えるとどんな気持ちになる?」と訊きました。すると「美味しいことを思い出して食べたい!ってなる」と答えました。
 
では「クッキーを貰ったらどうする?」と訊きました。「すぐに食べる!」と嬉しそうでした。それから食べていると想像していろんな感想を訊きました。歯ごたえ、香り、甘さ、のどごし……丁寧に答えてくれて「だから大好き!」とまた言いました。
 
次に食べ終わった感想を訊きました。彼女はすこし寂しそうに「無くなっちゃった……また食べたいなぁ」と言いました。
 
食べたいと常に願って、それを手に入れたらワクワクして、それを食べたらやっぱり最高で、食べ終わったらしばらく感動に酔って、もうしばらくしたら少し寂しくなって、でも思い出したらまたニッコリして……また食べたいと願う。
 
クッキーでさえもこのサイクルで私たちは生きています。これを人に置き換えてみてください。会いたいと願って、出会えて、一緒の時間をたくさん共有して、別れた後も充実感に包まれる、しばらくしたら寂しくなって、思い出すたびにホッコリする。
 
その繰り返しで人は営みを続け、いつかは死んでしまいます。死別は悲しいことですが、このように考えてみると「今をどう生きて、あの人とどう接するべきか?」がボンヤリ見えてきませんか?難しい理屈や哲学じゃ、解決できないことも経験を思い起こすとふと気づけることがあるんです。密教ってそういう教えです。
 
Byyomairi

2018/05/13『名字と名前』

絶家(ぜっけ)などという言葉を耳にする昨今です。昔からある言葉なのに、今の使い方にはすこし違和感を覚える……お寺が関わる現場にはそういう言葉が増えてきました。家族葬、墓終い、別姓墓など……絶家もその1つだと私は思います。
 
止むを得ず、跡を継ぐ者がいなくなりその家、または一族が終わってしまう。ということは、その後はその血統を繋ぐことが出来ない。元々はそういった意味だったと思います。でも現代においては「跡を継ぐ(面倒をみる)者がいたとしても、私には関係ない」と言って、先祖の供養を止めてしまうことに使うのだそうです。誠に嘆かわしいことでございます。
 
人間にはおヘソがあります。それは母から親から、そして先祖からの繋がりの証しです。今ココに自分が在るのは過去の命が在ってこその「存在」です。お位牌やお墓は諸事情で祀ることは出来なくても「絶家します」などという言葉は口が裂けても発するべきことではありません。
 
先日、とあるご家庭にお参りしました。お爺ちゃんの7回忌でした。長らく空き家だった家をリフォームしてお孫さんが「今後、家徳を守る」ということになりました。そのお孫さんは30才手前の男性で、その家の長女であるお母さんに産まれました。お母さんは旦那さんの家に嫁ぎ、違う名字を名乗りました。その男性もその名字で生きてきました。その家には男の子が2人いましたので、一大決心をしてお母さんの旧姓、すなわちお爺ちゃんの名字を引き継ぐことにしました。
 
その報告も兼ねた法要でした。私はリフォームされた家の中を案内してもらい、昔の名残とこれからの生活を想像して嬉しい気持ちになりました。衣に着替え、袈裟を着けたとき、亡きお爺さんの笑顔がそのお孫さんの後ろに見えたような気がしました。
 
読経の前に「名字と名前」はなぜあるのか知っていますか? と彼に問いました。彼はキョトンと「……よくわかっていません」と照れくさそうに答えました。ならばと、私は「難しい言い方はいくらでもできるけどね……」となるべく平易に説くことにしました。
 
相手は若者ですから自動車に詳しそうでしたので「TOYOTAや日産、HONDAと聞いたらどんなイメージでしょう?」と問いました。すると「信頼のある日本車のイメージ。安全で性能も良くて……」と笑顔で答えてくれました。そして私は「名字って、それと同じだよ。」と続けました。
 
家の筋というのは一代で築けるものではなく、何代にも渡って善行を重ねて「信頼」を得てきました。善行を重ねるには一人だけの意識では続きません。「〇〇家はかくあるべき」と掲げて一念に築き上げたものなのです。わかりやすく言えば、先に挙げた社名と同じです。その社名(名字)の下で、さまざま車種(個人)が創意工夫を重ねて、万民のお役に立つ進化を続けているのです。[一例ですが]TOYOTAにはカローラという名車がありましたが、その性能と信頼、そして人気があったからこそ、世界中で愛されるプリウスが産まれたのです。
 
名字に固執して窮屈に生きることは望みませんが、一族一統の証しである「名字」について、少しだけこれからの若い世代にそれぞれの興味が湧く角度から、先人の功績を語ることで「先祖供養」の一助になるような気がします。ご参考までに。
Byyomairi

◎第3回 檀家塾「お盆入門」

お盆は日本人にとっては馴染みの深い季節行事です。

「そもそもお盆の意味は?」 「お盆の準備って?」
「初盆の迎え方は?」 「正しい拝み方を教えて」

一度学んでおけば、たいへん役立つ内容満載です。

・日 時  平成30年6月9日(土)10時〜11時30分
・場 所  高蔵寺客殿
・会 費  お供えとして随意
・持参品  筆記用具
・その他  イス席で学びます。
・申込み  お名前と参加人数をお寺まで。電話 086-465-2744
      ネットからの申込不可。

※この塾は、高蔵寺の檀家向けの内容です。檀家外の方も参加出来ますが、
内容については雑学として、各宗派、菩提寺のご指導に従ってください。

Byyomairi

◎平成30年高蔵寺・施薬祭

今年(平成30年)は、5月27日(日)に施薬祭を厳修いたします。

施薬祭(せやくさい)は、仏さまの御利益を「お薬」に例え、五感全てで味わい、妙典・大般若六百巻の御風を直接うけていただく法要です。併せて、お稚児を加持し、無事成長・知能啓発を仏式の七五三祈祷で行います。お接待、住職の法話に加え、今年は高蔵寺とも縁の深い、フォークシンガー・小林啓子さんをお迎えして奉納演奏ライヴも開催致します。ぜひご家族お誘いのうえ、お参り下さい。※参加費はお供えとして随意です。添え護摩 (一願・500円)にて受けつけます。

  • 日 時   平成30年5月27日(日)昼2時〜(雨天決行)
  • 場 所   高蔵寺諸堂・境内
  • 内 容   薬師大護摩 稚児練り供養 大般若転法要 奉納演奏 お接待

 

〈小林啓子さんプロフィール〉1966年頃から和製ジョーン・バエズと呼ばれ、1969年に「こわれた愛のかけら」でデビュー。NHKの「ステージ101」のレギュラーとして活躍。長期休業後、活動を再開。澄んだ歌声と群を抜く歌唱力で多くのファンを魅了し続ける。住職との法話コラボ『うたかたり』も話題に。